内科や外科など病棟で働く看護師のうち、外来の精神科に勤務を希望する人は意外に少なくありません。
精神科は、命の直接的に関わる緊急性の高い症状の患者が運ばれたり、患者の体調が急変したりすることは少なく、比較的看護師の負担が少ない診療科だといわれているからかもしれません。
しかし、統合失調症や人格障害など、対応の難しい患者に対応しなければならないので、事務的な態度で接すると患者を激高させてしまうことになりかねません。
精神科を受診する患者は、強い強迫観念や不安に襲われている場合も少なくないので、医師の問診の前に看護師がヒアリングを行い、患者の気持ちを解きほぐすことがあります。
ヒアリングの段階である程度患者がリラックスできれば、医師の問診の際に患者が症状を上手く説明することができるため、正確に病状を把握して治療を行うためには、重要な工程になります。
そのため、精神科の看護師は精神疾患の症状についての知識を持つだけでなく、様々なケースに対処できるコミュニケーション能力を備えていなければならないのです。
また、診察中も患者の表情や態度に注意していち早く微細な変化に気付くことも、看護師の重要な役割です。
医師ももちろん患者の様子を注意深く観察していますが、穏やかだった患者が急に豹変し、暴れだすことも多々あります。
ですから、医師が安心して医療行為に臨めるように細かい配慮をすることも、精神科に勤務する看護師が担う責務といえます。